2010年3月21日日曜日

モチベーションは本当の自分にアクセスするスキル

「モチベーション(motivation)」が,意欲を「本来の自分」にアクセスして心の内面から高めるのに対し、「インセンティブ」は,報酬などを期待させることによって意欲を「役割性格の自分」にアクセスして外側から高める働きをします。


インセンティブは「報奨金」「奨励金」などの名目で使われるのが一般的で「意欲刺激」と呼ばれています。





上の図のように、インセンティブが役割の自分に働きかけるのに対して、モチベーションは本当の自分に働きかけます。
その違いからインセンティブよりも、モチベーションの方が深く長期に、意欲を引き出すことが可能になります。


本当の自分とは、人間の身体でいうなら神経のような役割をしています。
その周囲にある「役割の自分」とは仕事などの役割によって、後から作られていく役割性格をもった自分で、身体に置き換えると骨といえます。
神経がやられたら身体がダメになってしまうように、本当の自分が機能しないと自己実現はできなくなります。



モチベーションを引き出すことは本当の自分を檜舞台に出してやるのと同じです。
モチベーションのことを、やる気を出させて、人を巧みに使う意味にとっている方もいるかも知れませんが、そうではなく「自己実現」で得られる喜びに向かう力を引き出すことです。
  ところで、本当の自分とは、どういう自分でしょうか?
私たちは、よく「本当の自分」と表現しますが、なんとなくイメージできても、かなり曖昧です。
世界保健機構が提唱するライフスキルがあります。


これは健全な生活を実践する上で必要な技術のことですが、これらのスキルが「本当の自分」と見ることができます。

ライフスキルは、以下のスキルです。



・自己認識 Self-awareness
・共感性 Empathy

・効果的コミュニケーション・スキル Effective Communication Skills

・対人関係スキル Interpersonal relationship Skills
・意志決定スキル Decision Making Skills
・問題解決スキル Problem Solving Skills

・創造的思考 Creative Thinking

・批判的思考(クリティカル思考) Critical Thinking

・感情対処スキル Coping with Emotions

・ストレス対処スキル Coping with Stress



以上10 の技術のことで、これらのスキルは誕生から成長の過程で身につけていくものです。



10 のスキルは相互に影響しあっています。

相互に影響しあっているために、あるスキルが未熟なことから思うように使えないことから、持っているスキルを使いきっていないと感じたときに、本当の自分が出ていない、表現されていないと感じます。また、これらのスキルは感情の影響を受けます。



 モチベーションを引き出す作業とは、10 のスキルへの呼びかけであり、呼び出すための勇気づけ、つまりライフスキルの肯定をしてあげることといえます。
引き出す人と引き出される人の間では互いに信頼が欠かせません。

信頼はお互いの行動と成果で深まります。


行動については目標達成のプロセスの共有の仕方と強さが影響します。
また成果についてはフィードバックの方法や頻度、時期が影響します。
成果のフィードバックは会社なら上司がしますが、成果を確認することで、自分自身への信頼を回復して、自己主張ができる自律心を養います。
自律心を使うことで、自己実現を果たし、さらに共同体の役に立つことで、より確かな自信を持てるようになります。



共同体とは、カップル、家族、会社、サークル、町内、国などです。
私たちは所属したい欲求、愛されたい欲求、承認されたい欲求があります。
その土台となるのが共同体です。共同体は自分のアイデンティティに強い影響を与えています。


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