2010年8月9日月曜日

ラダー効果の実際

ラダー効果については、先に説明しましたが、ラダー効果の実際について追記します。

 数値目標より上位に位置する抽象的な目標、つまり「なんのために働くのか」は「なんのために生きるのか」という課題と直結している。

 ともすれば「仕事をするのにそこまで問題にする必要があるのか」という疑問を持つ人がいると思います。頭でっかちになりすぎていて、そんなことを考えるくらいなら他にすることがあるだろうと思う方もいる。

 しかし、本当のところ、売ることに苦労していないから、そんな思いがするのであって、最も重要なことを抜きにして売ろうとしているとしか思えないのだ。

 売れない状態に向き合って、放り出すわけにもいかない。なんとしても当初、予定した分を売らないといけない状況にあり、売りたいと思うとき、お客さまを抜きにして考えることはできない。買う、買わないの判断をするのは、お客さまだからだ。

 そこでどうすれば買ってもらえるか考える。「お客さまの満足を高める」ことに向き合うか、あるいは、「だまして売れ」に走るかは、モラル、生き様の問題であり、「なんのために働くのか」「なんのために生きるのか」によるところが大である。

 「お客さま第一主義」と言葉を使うのか簡単だが、どうすれば売れるのかをやっていたら、きれいごとではない、本気の「お客さま第一主義」に必ずなるものである。それでも本気にならないというのなら、根本から間違っているとしか言いようがない。

 技術的に言うなら、ストレッチターゲットのレベルにある目標があり、達成至上命令を出し、プロセスに誤りがないか管理することだ。そうすれば、本物の「お客さま第一主義」に矛先を向けざるを得なくなる。

 さて、問題はここから起こる。「お客さま第一主義」をやり遂げるとは、「お客さまは神様」の世界を実践することになる。それは自らを蔑む意味ではない。しかしそれが理解できて主体的に取り組んでいく人は少ない。やればやるほど「なぜそこまでするのか」「やってられない」と不満が浮上することになる。

 あるいは、その様を観ていて、「なんという奴らだ。これはおもしろい。ひとつ加わってみょう」と主体的に参加してくれるものも、少ないがいるがそれは稀であってほとんどは不満を持つ。本当の「お客さま第一主義」はここから始まるといって過言ではない。

 管理者として、この不満を吸い上げて、沈静化して、さらに意欲に発展させていくとき、「話し合い」なしにはできない。そのときの柱になるのが、「なんのために働くのか」であり、「なんのために生きるのか」という課題である。これなしに進むことはできない。

 考えてみるとすぐに分かることだ。「金のために働いている」「生きているから生きているだけ」「遊びたいから生きている」という連中に「お客さま第一主義」をやり遂げる理由もなく、彼らにとっては狂気の沙汰としか映らない。それほど「お客さま第一主義」は大変である。大変だからほとんどが体裁を繕っただけのきれいごとで終わり、実践しない。つまり本気にならないのだ。だから本気で実践したものが勝てるのだ。

 ここでの価値観への共感が、不満を持っていた部下が成長する動機づけになる。
「お客さま第一主義」をやり遂げたいと思う同志が増えていくことで「お客さま第一主義」は可能性の扉が開く。そして仲間と踏み込むことで「苦難」のプロセスが始まる。その苦難を苦難と思わずやり遂げる支えになるのが、数値目標より上位に位置する抽象的な目標、つまり「なんのために働くのか」さらに「なんのために生きるのか」という使命感である。

 誰に言われたわけではない。でもそれをやるのが自分の使命なのだと言えるものを持ったとき、人は強い。強い人が集まった組織は強い。お客さまの心を動かすエネルギーはこの使命感から生まれる。

 数値目標より上位に位置する抽象的な目標がいかに重要かを知っている人は、実践のなかで、それによって救われたことを体験した人である。体験していない人が、その重要を知らないままでいる。抽象的な目標も「お客さま第一主義」も理屈ではない。困難に直面したとき、本気で克服しようとするとき、神の手のように機能する。

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