「仕事だからがんばるのは当り前」はそうかも知れないが、やる気になれない状態でいくら筋論を押し通しても成果があがるわけではない。仕事をしていれば良いってものではなく、結果を出すのが目的だから、効率良く求める結果を出すことが大切だ。
つまり私たちは「生産性」という課題と向き合っていて、生産性がなぜ重要かというと、数値だけの問題ではなく、仕事を進める上での因果関係が生産性に凝縮されているからだ。
そこでどうすればモチベーションがあがるかという問題が浮上するわけで、真剣に取り組んでいると、必然からマネジャー(管理者)として進化していくことになる。
モチベーションを高めるには、目標の難易度と達成感の強さのバランスが良くないと、魅力的な目標も意欲も作れない。そこで、やる気が起こる目標を作る上で欠かすことのできない ラダー効果、 オプション効果、スポットライト効果、サンクス効果について説明していきたい。
ラダー効果は、とても重要なひとつで、私は日頃から、これなしに人は育たないと思っている。実際、過去に私は1000人以上の人と直接関わり、数え切れないマネジャーを育ててきたが、いつ会っても、彼ら自身がそれを懐かしみ口を揃えて話題にする。それだけ心に入ったということだろう。「それ」とは日頃追いかけている目標より「上位に位置する目標」のことだ。
それはもっともなことで、販売に携わる者には、プロスポーツ選手なみに考えながら行動すること、そして緊張が要求される。しかしプロスポーツ選手のように、「ストーブリーグ」というものがない。ずっと緊張が連続する。やってもやっても、これで良いということがない。終わりのないレースをやっているようなものだ。そで疲弊しないというのは日頃から真摯に取り組んでいない証しでしかない。
真剣に取り組んでいれば、成績があがると、次の月には落ちてしまうちうようなことが起こる。緊張が続かず自分で休憩してしまうのだ。目標に届いていなくても、前年比をカバーしていると、「まあいいか」というように妥協をすることになる。そこで上位管理者が同じように休憩を認めているようだと、屋台骨が崩れてしまうことになる。
プロ野球の名監督と言われる人にもそういう人物がいて、前年よりいいポジションで終わったかと思うと翌年には、前年より落とす。その翌年には、戻して返り咲く。これを繰り返していると、うまくしのげるのだそうだ。それもひとつの処世術だが、伸び盛りのマネジャーがこんなことをしていると、覇気がなくなってしまい40代にもなると使いモノにならなくなる。
こうしたことを防ぐには、数値目標だけでなく、より上位の目標、つまり抽象的な目標が効果を発揮する。抽象的な目標はその名の通りとらえどころなく、その効果を頭から考えない人が少なくないが、それは間違いである。先に述べたように、それなしに人は育たないと断言できる。
考えないと説明する力もつかないので、いつまで経っても、抽象的な目標はないままになるので、やがてモチベーションは息切れして、最後にはやる気がありそうなことを言ってその場をしのぐごまかす技術だけが身につく。しかし数字は状態を示す。
たとえば販売とは、売ることだ。ずっと同じことを繰り返していると、「自分はなんのためにこんなつらいことをしているのか」と疑問が湧いてくる。真面目に目標に取り組んでいる者ほどそう思うようになる。つらいことは誰にもつらい。なにも感じない者は普段から緊張感のない者だ。頑張っている者ほど、耐えているのだ。その忍耐に一刻も早くサポートの手を差しのべることが必要だ。
しかし、抽象化をすると、売る仕事は、お客さまに喜んでもらう仕事で、人を助ける仕事だというように誇りが持てるようになってくる。さらには仕事を通して幸福な社会を作るというような使命感が体験を通して育ってくるようになる。使命感が苦しい局面を乗り越え自分と部下を育てる原動力になる。この循環が正常に行われるようになると会社の風土もそのようになり、風土が個人を励ますようになる。
マネジャーが部下が感じる範囲の仕事の捉え方を変えるアプローチを繰り返すことで、仕事への取り組み方も変わり、その結果、成果も格段に変わって来る。
いまの世は離陸率が高いと言われるが、目先の目標をただ追わせるようなことをしていると、いくら採用してもすぐに辞めてしまう。うるさいからがんばっているという自分にも周囲にも嘘をついた状態では、それだけで疲れてしまい、モチベーションが高くなることもなく、「うつ」の原因にもなり、いい仕事はできない。
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