「リーダーシップ」の強い人と弱い人がいます。価値観の合う仲間的な人に対しては問題なく発揮できても、仕事の能力の高いのに、そりが合わない人を巻き込む力が弱いようだと「リーダーシップ」が強いとはいえません。
そういった必ずしも「リーダーシップ」の強くない人が、上手に「リーダーシップ」を発揮できることが、大切なのです。つまりリーダーシップを個人的な資質の問題にしないで、学習によって鍛えられるものにすることが人材育成のポイントで
す。
その中核になるのが「内的モチベーション」で、達成感、承認・評価、責任、仕事に対する価値観などです。「内的モチベーション」と1セットになることで機能するのが「外的モチベーション」で、給与、地位、人間関係、安定した雇用の仕組みなどです。
最近の働く人の傾向では、雇用環境が厳しいにも関わらず「外的モチベーション」より「内的モチベーション」を重視する傾向にあります。ところが雇用側では、意欲を引き出したいときに問題にするのは相変わらず「外的モチベーション」のようです。手を打ちやすいからに過ぎないのと、問題をつかみきれていないことも一因です。
では、「リーダーシップ」の強くない人が、上手に「リーダーシップ」を発揮するにはどうしたらいいのでしょうか?
それには成果をあげることです。達成感はモチベーションを高める最大のエンジンになります。ところが達成感を味わうにはモチベーションが高い必要があります。
しかし、これでは鶏が先か、卵か先かの話になってしまいます。
結論から言うと、マネジメントとコーチの融合です。
マネジメントは、野生の馬を調教しながらで荒野を進み、目的地に到達するプロセスのすべてです。一方コーチは馬車で目的に運ぶことです。つまりコーチがコーチしていると思わせずに自主的、自律的に取り組んだ成果として達成できたと思わせることです。
その仕掛け、さらに仕組みを構築するのがリーダーシップであり、それには因果関係を計算して、関係性を機能させるために必要なことを全部実行して、1の努力を3の成果、3の成果を5の成果、5の成果を10の成果に膨らませていくことです。最小限の努力で最大の成果をあげるには、因果関係をアグレッシブに使いきることです。
チームワークは役割分担のことですが、熱い血の通った人間が役割を分担していることを忘れてはいけないのです。つまり人は機械のように同じではなく、能力、意欲、価値観でもバラバラな存在です。バラバラなので均一的に機能しません。
いくつもの矛盾が生じ、感情のバラつきや対立さえ起こります。このばらつきや矛盾を活用することで、理屈を越えた、つまり血の通ったチームワークを使うことができます。
たとえば山田は上司の命令には乗ってこないが、同期の小林の動きには反応する。 小林は山田の動きに反応しないが、上司の命令には乗ってくるなど、チーム個々の事情があるものです。初日に達成できないとあきらめムードになる。あきらめムードに乗りやすいのが小林だとか、因果関係は探せばいくらでもあります。
網の目のように張り巡らされた因果関係の糸を上手に動かせば、「リーダーシップ」の強くない人でも、いやむしろ強くない人だからこそ、慎重に用意周到に準備して、チームの力を最大限に発揮することもできるようになります。
またこういうリーダーシップは学習しやすいので、伝承することも容易です。
人、時、場所、物は、ただ単にあるのではなく、すべてに人が絡んでいるので、すべてに因果関係があります。読み取り、絶え間なく先手先手で仕掛けていく。リーダーシップは成果と共に飛躍的に成長します。
もちろん、こういうことはすぐにできないでしょう。だからマネジャーになる前に予行演習を何度も繰り返して体験で身に着けておく仕組みが会社に必要なのです。
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